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小噺壱『纏色』  

子亀時代を勝手に捏造してみたお話です。
素顔→バンダナ→ハチマキのバンダナ手前辺りを妄想。


暗い地下で、ネズミのミュータント『スプリンター』は
数年前に下水へ流れ込んできた4匹の亀の背中を見つめていた。
4匹の亀を見つけたとき、彼らは緑色に発色する不思議な液体を被っていた。
そして自分もそれを浴び、ミュータントと呼ばれる突然変異体となったのである。
自分も含め、この姿を人間に見られては大層まずい。
その為、師と仰ぐ男から学んだ忍者の極意を彼らに教え、
己の身を守らせようと修行の日々を始めた。
元はノロマと言われてしまうほど動きのゆったりした亀だが、
ミュータントの特異な力なのか彼らの才能の賜物なのかそれは全くわからないが
戦いの極意をみるみる身に付け、俊敏な動きでスプリンターの目を驚かせた。
このまま自分の教えに従ってくれればきっと師に並ぶ逞しき戦士となるだろう。
そう期待する眼差しは熱いのだが…


「後姿では誰が誰だかわからんのぅ…」


隣接する4つの甲羅とそこから生える手足。4匹とも同じ肌の色。
顔を見ればすぐに誰なのかわかるのだが、流石に全く同じ後姿ではわからない。
ミュータントになって伸び始めたアゴの髭を右手で軽くいじりながら、
スプリンターはふと思い立って長時間降ろしていた腰を上げた。

「先生?どうしたんですか?」

気配に気付いたのか真っ先に振り返って尋ねたのは『レオナルド』。
真面目で真っ直ぐな少年だ。師を最も慕っている故この問いもすぐ生まれる。
続いて振り返る息子達に優しい笑みで答えた。

「なあに、少し待っていなさい。いいものをあげよう」
「いいものぉ!?なになに、オイシイの?」

4匹の中で末っ子であろう『ミケランジェロ』が『いいもの』に咄嗟に反応した。
やれやれ、食い意地の張る子だ。それもまた愛嬌か。
後ろからミケランジェロの頭を軽く小突く兄。『ラファエロ』である。
意地っ張りな子だが本当は兄弟想いだとスプリンターは知っている。

「バーカ、すぐ食いものだと思うなよ」
「べぇ~だ、おいっしいピザだったらラファエロは食べるなよぉ」
「なんだとぉ!」
「やめなよ2人とも」

すぐ言い合いになるラファエロとミケランジェロの間に入るのが『ドナテロ』。
落ち着いた性格で、争いを好まない優しい子だ。


こうして顔を見れば顔つきや目つきですぐにわかるのに。
また父としての自覚が足りないのだろうかと思いつつスプリンターは
己に不安を抱きながらも息子達を優しく抱きしめ、部屋を後にした。
『いい子にしていれば皆にそれをあげよう』と大人しくさせる呪文を唱えながら。




水の音と己の足音しか響かない、静寂に包まれた下水道。
スプリンターは迷うことなく広い下水道を歩き、辺りを十分に警戒しながら
外へと飛び出した。月光が鈍色の毛を照らす。
そこはドナテロに手を引かれ連れてこられた人間達のゴミ捨て場。
ガラクタに目を輝かせるドナテロを思い出し、そしてその時視界に入った
『それ』がまだあればいいのだが、とガラクタに手をかける。
ガラガラと音を立てて崩れ落ちるガラクタ。でもスプリンターの右手には
目的のものがしっかりと握られていた。

「あと3枚じゃな…」

そう呟きながら月夜の下でスプリンターは『それ』を探し続けた。


いつもの部屋に戻ると、既に息子達は夢の世界に旅立っていた。
どうやら思った以上に時間がかかってしまったようだ。
けれどぐっすり眠っているのは約束を守ろうとしているからだなと理解する。
4匹でまとまって眠っているその寝顔はスプリンターにとって天使そのもの。
起こさないようにそっと彼らの傍を静かに歩くとミケランジェロが寝言で
「おかわりぃ~」と言っていた。楽しそうな夢だ。
明日、起きたら彼らにこれを与えよう。その為には…


「まずは洗濯か。あとは『アレ』の仕上げもしよう」




翌朝、父の姿を見て真っ先に挨拶をしたのはやはりレオナルドだった。
いつ起きたのかわからないが、しっかりと覚醒している。

「先生、おはようございます」
「おはようレオナルド。兄弟達はいい子にしていたか?」

はい、と言いつけをしっかり守った事に自慢げなレオナルドの頭を優しく
撫でてあげ、兄弟達の招集を乞えばすぐにまだ夢の中の弟達を起こしに行く。
そしてぼんやり眼をこすりながらやって来る残りの兄弟達。

「息子達よ、おはよう。昨日話していたものをあげよう」

その言葉についさっきまでねぼけていた表情が一転してシャキッとした顔つきに。
あまりの豹変ぶりに思わず吹きだしそうになるのを堪え、スプリンターは
用意した4枚の『それ』を手に取る。
『それ』は色の付いた布。けどハンカチのような小さなものではなく
バンダナともいえる大きな布であった。


「まずは…ドナテロ」
「は、はい」

いきなり呼ばれ驚くドナテロ。この子には不思議な力が秘められている。
機械に精通する高い知能、それは他の兄弟達には無いものだ。
しかし、数年間面倒を見てあげても未だに心の内が読み取れない部分がある。
だから、この子に与えるは神秘的な。情熱の赤と冷静の青を織り交ぜた
どちらとも言えぬ力を秘める色。
ドナテロに背を向けるよう指示し、そして頭部にそれを巻く。
目の位置にはきちんと穴を開けた。見えるか?と聞けばはい、という返事。
バンダナを身に付けた兄弟にわあ、と歓声が沸く。


「わぁ~!カッコイイよドナテロ~!」
「ほれ、次はお前じゃ、ミケランジェロ」

そう言って末弟の名を呼べば犬のように走り寄って来る無邪気な笑顔。
この子は太陽のようだ。まだ彼らにお天道様を拝ませた事は無いが、
自分にとってこの子が太陽そのものなのだ。
その笑顔に似合うのは。ぽかぽかと温めてくれる陽光の色。
しゅるりとそれを巻いてあげれば喜んでまた笑顔を見せてくれる。
しかし結び目を手でいじっている内にほどけてしまった。
それを見てドナテロが自分のバンダナの結び目を手探りで把握しながら
直してあげている。大丈夫だな、と様子を見てまた兄弟を呼ぶ。


「ラファエロ、おいで」

ちょっと照れくさそうにやってくるラファエロ。この子は炎そのもの。
時に荒々しく燃え上がり時に身を温める力は彼の性格を現している。
この子にはを纏わせることにした。炎は扱いを誤れば己の身を滅ぼす。
しかしこの子はそれを十分にわかっている。ただ、まだ制御ができないだけ。
だから兄弟の力を借りる。そして兄弟に少なからずも感謝している。
素直じゃないのが玉にキズ、とも言えるが…。

「…ありがとうございます、先生」

珍しく聞いた感謝の言葉。思わず目を丸くしてしまうがすぐにそれを細める。
バンダナを巻いてあげ、そして最後に大人しくじっとしていた子を呼ぶ。


「レオナルド」
「はい」

後ろでワイワイ騒ぐ兄弟を気にもせず父の前に出るレオナルド。
その落ち着き様は子供らしさが無いようにも見えるが、それはあくまで
見せないようにしているだけで時折見せる表情や仕草は可愛い子である。
この子はまるで風。兄弟を導く風のようだ。
だから、透き通ったこそふさわしい色。
けれども、風は時に行き場を失う。壁にぶつかればたちまち消えてしまう。
先頭に立ち皆を導きながらも危険を一身に引き受ける事があるかもしれない。
だがこの子は必ず困難を乗り越えてくれるだろう。


「どうじゃ?ワシからのプレゼントは」
「ありがとうございます」
「みんなおそろいだね~」
「そうだな」
「でも、先生…」

レオナルドが悲しそうな瞳でスプリンターを見上げた。
何か不満でもあるのだろうか。腰をかがめて彼らの目線に合わせる。

「先生はバンダナ付けないのですか?」
「あ、そうだね」
「オレたちだけつけてるの、ヘンです」
「センセーもおそろいにしようよー!」

家族なんだから、と付け足すミケランジェロ。そうだ、自分はこの子達の父。
もう種族など関係無い、絆で固く結ばれた家族なのだ。

「ワシは耳が邪魔でのう、バンダナは付けられないがこれを用意しておった」

バサリと両手で広げて見せる茶色の和服。師が身に付けていた衣服を真似て
繕ってみたものだ。それをふわりと浮かせ、袖に腕を通す。
茶色は大地の色。この子達は土の色を知らないが、大地は全ての生きるものを
大切に支えてくれる。だから、この子達の支えになろうとこの色を選んだ。

「どうじゃ?」
「似合ってます、先生」
「カッコイイー!でもその色ってうn…」


ミケランジェロの言葉は突然拒まれた。

彼が言いたい事を瞬時に解したドナテロが口を塞ぎ、

レオナルドがミケランジェロをとっさにスプリンターから引き剥がし

いきなりの行動に驚く末弟の頭をぽかっとラファエロが叩いた。

「いたい~!!ナニするのさ!」
「オマエなあー…」
「今のは言っちゃダメだよミケランジェロ」
「ご、ごめんなさい先生」
「いや、あの…」


日頃の修行が生かされたとも言える見事な連携プレイであった。





以下性も無い懺悔。
オチが酷くてすみません(笑)下ネタ自重しろよ…
ですが子亀っていつ頃からバンダナつけるようになって
先生も服着るようになったのかなと思っていました。
あと亀達の色を選んだのも先生だろうかとか
色々想いを巡らせていたら先生メインの小話に。
この後大きくなってバンダナが付けられなくなったから
ハチマキに変えたんだよきっと!…きっと(自信無さげ)
こ、こげな文で失礼しました(汗)

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