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小噺伍『温手』  

子亀時代のラファエロが一応主役のお話。
でもメンバーは全員登場しております。


ある日の朝、スプリンターは自分の身体に異変を覚えた。
身体が熱い。
だるくて起き上がる気力も無い。

「…風邪、じゃろうか」

ぼやいた声も掠れている。喉も悪くしたようだ。
これは困った。こんな姿を息子達が見たらどうなるのだろうか。
泣き喚くであろう息子達の姿をもやもやする頭の中で描きながら
どうにか身体を起こそうと躍起になるもやはり地に縛り付けられているように
重くて動いてくれない。これは本当に由々しき事態だ。

しばらく身体を重力に従わせていると騒がしい足音が聞こえてきた。
勿論朝になっても姿を現さなければ探しに来るのは当然。

「先生っ!!…せん、せ…!?」
「わっ、とまるなレオナルド!」
「あ、わわわっ」
「いだぁっ!んもー、なにしてるのみんなぁ」

レオナルドが筆頭に一気に4人の息子が部屋になだれ込んできた。
しかし先頭が急ブレーキをかけてしまったため玉突き事故のように
続々と後続がぶつかり前のめりに倒れこんでしまった。
しかしすぐに全員頭を上げ父の様子を窺う。

「どうしたんですか!?」
「センセーしんじゃうの?」
「バカ!せんせいがしぬわけないだろ!な、ドナテロ」
「え、う、うーん…」

各々に喚く4色のバンダナをつけた子亀の様子は
先ほどスプリンターが想像したものと一寸とも違わない。
さて、どうにかこの混乱を収拾させねば。

「大丈夫じゃ、息子達よ。ワシはどうやら風邪をひいてしまったらしい。
 横になっていれば治るから、うつらぬよう部屋を出なさい」


「で、でも…オレたち先生がしんぱいです」
「駄目じゃ、お前達に風邪がうつってはいけない。
 いいから外に…ごほごほ」

「先生!」

無理に声を出したのでかえって喉が痛めつけられたようで、
スプリンターは思わず咳き込んでしまった。
これが更に息子達の不安をかきたてたのは言うまでも無く…

「センセーをたすけよう!」
「ど、どうしたらいいんだ?」
「ボク…カゼをなおす本をさがしてくる」
「そうだ、あったかいタベモノつくるね、オイラ!」
「ミケランジェロ、オレも手伝うよ」

慌てて部屋を飛び出す息子達。
しかし全員ではなく、スプリンターの枕元に立つ少年がただ1人。

「ラファエロ…何もしなくていい。まず部屋から出なさい」
「…イヤです」
「ラファエロ」
「イヤです!!」

ラファエロはガバッとしゃがみ込み、横になっている父に目線を合わせる。
そして薄い布団に手を入れると少し汗ばんだスプリンターの手を握り締めた。
熱を帯びた身体でも、ラファエロの熱がじわじわと伝わってくる。

「せんせい…しんじゃ、イヤです…」

ぎゅ、と握り締める手を額に当て、祈るように呟くラファエロ。
いつもはレオナルドと言い合いをしたりミケランジェロに
ちょっかいを出されムキになったりとやんちゃな少年なのに
今、目の前にいる心優しき少年もまた、ラファエロの一面なのだ。
普段見せない息子の姿。感情をひたすら隠していたのだろう。
この子は、物凄い照れ屋なのだから…

「…心配するな。お前達を置いて行くわけなど無い。
 だから笑っておくれ。お前の笑顔が何よりの薬じゃ」

「せんせい…!」

ラファエロの不安を帯びた瞳に光が宿り、口元が緩む。
その少しはにかんだ笑顔を見てスプリンターも笑顔を見せた。
その後、兄弟が部屋に戻るまでラファエロは父の手を握り続けていた…。




「けほっ、けほっ…」
「あーあ、センセーのカゼうつっちゃったね」
「ダイジョウブ?ラファエロ」

翌日、ラファエロはスプリンターから風邪をもらってしまい
寝込んでしまった。父同様、心配そうに顔を覗き込む兄弟達。

「さ、ワシが看病してやるからお前達は修行をしていなさい」
「ラファエロ、はやくなおるんだぞ」
「えー、しゅぎょうするの?」
「ボクらは元気だからねー」

ほら行くぞ、とレオナルドに促されドナテロとミケランジェロが
部屋を出る。そして熱にうなされるラファエロの手を
スプリンターは優しく包み込んであげた。

「せんせー…」
「お前が昨日ワシにしてくれたように、今日はワシがお前のために
 こうしてあげるから、安心しておやすみ」


頭も優しく撫でられると、ますますラファエロの熱が上がったように
感じたのは気のせいであっただろうか。



(おしまい)



第五回反省会(まだまだ続く)
どうしてこう、子亀話ってイメージが沸きやすいのかなと!
ちなみにこれは実際に親が風邪をひいて自分があれこれ手伝わなくちゃと
やっていた時に思いついたネタでして(ある意味不謹慎)
小さい子から見たら親の体調不良って凄い不安になるのかなと。
治療の知識もわからなければ料理の知識も無い、だからせめて
傍にいて元気付けてあげたいと考えたラファエロでした。
い、今のラファエロもこうしてあげるのかはわかりませんが…!
とりあえず子供なので漢字をあまり使わないようにしてます。
ドナテロはたまに難しい漢字をカタカナで喋ってればいい(笑)
ではでは、ご覧くださりありがとうございました!

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