風林ノ草庵 ホーム » 風息(亀忍者) »小噺六『未来』(下)

小噺六『未来』(下)  

※ご注意
この小噺は第3シーズン(日本では未放送)のお話を元に書いております。
しかしあくまで個人的な妄想と捏造に過ぎないのでそれでも構わない方のみ
どうぞ追記からご覧下さい。元の話とは巷で欝EPと有名なアレです。
あと傾向としてはシリアスです。今までの小噺とはシャレになりません。
全三部構成です(こちらは第参部)つまり無駄に長いのでそちらにもご注意をば。


「ここだと思うんだけど…」
「しかしボロいビルだな。こんなところにフット団がいるとはな」
「2人共、行くぞ。早くドナテロを助けるんだ」

レオナルドの声に従い赤と橙のハチマキが闇に溶け込む。
暗いビルの中は無音で人の気配も感じない。

「おいミケランジェロ、本当にここなんだろうな?」

怪訝な表情でラファエロが口を開いた。レオナルドも同じ事を考えていたところだった。
いくら奴らが忍だからといっても気配が無さすぎる。
閑散としたビルの部屋を月夜が照らす中、ミケランジェロは外の異変に気付いた。

「あっ…!そこだ!そっちのビルにいるんだ!!」

勢い良く突き出された指の先は部屋の窓へ向けられていた。
そしてその奥にはもう一つそびえ立つ廃ビル。
更に慌てて部屋を出るフットソルジャーの姿まで見られる。
間違い無い、あちらにドナテロが捕らわれているようだ。

「行くぞ!」
「待てラファエロ、ドナテロが何階にいるかわからないだろう?
 全員で1階から侵入するよりも分かれて詮索する方が会える可能性が高い」
「それじゃオイラこのビルの屋上から隣のビルに移って上から探す」
「あぁ?」

レオナルドの提案に真っ先に意志を述べたミケランジェロに
思わず聞き返したラファエロだったが何?と首をかしげる弟にいや、と答えた。
ミケランジェロの勘はこういう時に鋭いのかもしれない、そう思って。

「オレとラファエロは下から行く。どちら側にいても敵を減らせられれば
 結果的にドナテロを救出できる確率が上がるからな」
「オッケー!こんな時にケンカするんじゃないよ!」

軽快に部屋を飛び出し階段へ向かった橙に続き青と赤の影も部屋から姿を消した。


ドナテロがいると思しき廃ビルへ突入しようとしたレオナルドとラファエロの前に
音も無く突如現れた黒の影。しかも1人ではなく複数で。

「チッ…どうやらバレてるようだな」
「そのようだ。すぐに蹴散らしてやるさ」

2本の刀とサイ、それぞれを抜き構える二人。
いつも何かと些細なことで言い合いをする青と赤の影だが
チームワークだけは絶対に揺るがない。互いの意志を主張し合うことにより
戦いの中において各々の動きを汲み取りながら攻撃を仕掛けることができる。
何より今回は大切な兄弟を失わせないための戦いだ。
たとえ数で負けていようとも一騎当千の勢いで打破するつもりである。
2人はほぼ同時に地を蹴って影に襲い掛かり、高い金属音が闇夜に響いた。


ビルの屋上に出たミケランジェロはすぐさま目的の廃ビルの様子を窺った。
少し下の階…6階の部屋で蠢くものが見える。

「…ドナテロ!」

少し短くなっているがかすかに揺れた紫のハチマキ。
でもフットソルジャーもいる。あのままでは不利、倒される可能性は否定できない!


その刹那。


「!!!!」

フットソルジャーに腹を蹴られその勢い止まぬまま部屋のガラスを突き破って…

「ドナテロォォォォ!!!」

ドナテロは宙に放り出された。



どうやらここまでのようだ。
なんとか気力を振り絞ってここまで抵抗したけれども
元の半分も無い体力では奴らと対等に戦えるはずも無かった。
もう落下に備える姿勢をとることもできない。



ふわりと浮いた身体が今度は重力を受けずしりと沈む。
地面に叩きつけられる………!!

「………!!」

え?なに、何て言ったの…?

「…ドナテロッ!」

ハッと目を開くとそこに見えたのは満月を背に飛び込んできたミケランジェロ。
突き出された彼の右手に思わず自分も手を出し、がしりとつかまれた。
しかし…

「っ痛ぅ……!!!」

月が雲に隠れたせいで表情がよく見えないが明らかにミケランジェロの声に痛みがはしる。
ヌンチャクを今にも崩れそうなベランダの取っ手に引っ掛けたようだが
2人分の重みを支える左腕が悲鳴を上げているのだ。

「手を離せマイキー!このままじゃ落ちるしお前の腕も…!」
「嫌だ!絶対…離さない、よ…!」
「何言ってる!離すんだ!」
「離すもんか!」

首を横に振って強く拒むミケランジェロ。それと同時に右手の握力も増した。
雲に隠れた月が少しずつ晴れ、ミケランジェロの表情を照らし始める。


「だってここでお前を見殺しにしたら…オイラ一生この事悔やむよ」
「!!」


悲しそうな笑顔。
そうだ、未来で見たあの笑顔と同じ。
もしかしてあの時ミケランジェロが伝えたかったのは…


『ドナテロ、オレは、オレはっ……!!』


「大切な家族を助けられなかったらオイラ、もう笑えないよ」


そうか、ミケランジェロ…。


「ミケランジェロ、大丈夫。ヌンチャクを外して」
「えっ!?今度は外してってどういうコト?」
「下を見るんだ」
「あ……なるへそ」

冷静になったドナテロが余っている左腕で地面を指した。
そこには不自然に集まったフットソルジャー…あの2人のことだ、
気絶させて集めた彼らをマット代わりにしようという寸法か。

「ちょっと悪いけど、仕返しに踏みつけさせてもらおうかな」
「うっわ、酷いやドナちゃん。でもドナちゃんをこんな目に遭わせたあっちが悪いよね」

手首のスナップを利かせ器用にヌンチャクを外すとそのまま二人は真っ逆さまに落ちた。
落下の衝撃もフットソルジャーのおかげで全く感じず、ぐぇ、とか呻く声が聞こえたが
気にしなかった。そしてすぐに左腕に手を当てていたミケランジェロに声をかける。

「マイキー、腕は?」
「腕?あー、ちょっと痛いけど重傷じゃないよ、大丈夫!」

良かった、と安堵の色を浮かべると背後に感じた暖かな気配。
振り返ればレオナルドとラファエロが少し離れた場所からやって来る。

「良かった、2人共無事か?」
「ああ、迷惑かけてごめん…ってレオナルド!?ラファエロも…」

ドナテロは再び血の気が引く感覚がした。
レオナルドは両目を閉じラファエロに肩を貸している状態で、
そしてラファエロも左眼を負傷している。

「ちょっと目潰しを受けちまってな。オレは瞼を切っただけだし、
 レオナルドは煙幕をモロに受けただけだから大した事は無ぇよ」
「ああ、さっきよりはだいぶマシだ。お前の顔もうっすらとわかる」

そう言って証拠を見せるようにレオナルドはドナテロの肩に優しく手を置いた。
ドナテロは驚きつつも兄弟の様子をもう一度確認する。
心の底から心配するな、大丈夫だと励ましてくれる温かい笑顔。


少しケガは負ったものの、みんな大丈夫。
寧ろ未来に負うかもしれない傷を今負ったから、あの未来は訪れない。


根拠など無いのだが、ドナテロはそう直感した。
そして不意に笑みがこぼれてくる。
自分に覆いかぶさっていた闇が打ち払われた瞬間だった。

「ドナテロ…良かった、久しぶりに笑ってくれたな」
「ったく、相変わらずにやけた顔しやがって」
「いつものドナテロだね、その笑顔は」

自分の様子がおかしい事に気付いてくれていたことには触れず
ただ自分の無事を喜んでくれた兄弟達を、ドナテロは本当に愛おしく感じた。


「ありがとう、みんな」


闇が少しずつ薄れ、そして光が大地を覆い始めた。夜明けのようだ。
その方向を見つめ、互いに顔を見合わせる。

「さあ、帰ろう」


4人で、我が家へ――――――――。







色々見苦しい言い訳結局はお詫び最終回(笑)
長々とご覧下さりありがとうございました!実はあの話を見て以来
ミケランジェロがドナテロに何を言おうとしていたのかなと考えておりました。
それで考えた結果あの世界のドナテロを救えなくてゴメンというようなものでした。
ドナテロの蒸発→家族の分散=フット団対抗戦力の消滅→あの未来
という感じで進行したのかなとイメージしつつ書いてみましたが…なんとも(汗)
未来末っ子の一人称はとりあえず45歳ですし、無難に「オレ」にしました。
亀忍者はいつまでも大好きですとも!それでは本当に長々と
お付き合いくださりありがとうございました!!

category: 風息(亀忍者)

tb: --   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

綴ってる人

Twitter

▲ Pagetop